税務Q&A
これだけは知っておきたい!相続・贈与
【平成24年度税制改正大綱について】
相続新聞社サイト第58回(回答)はこちら
平成23年12月10日、政府より平成24年度税制改正大綱が発表されました。相続・贈与に関する改正ポイントについて説明します。
1,相続・贈与関連の平成23年度税制改正案は見送りに
~平成27年1月1日以後の相続・贈与から適用~
平成23年度税制改正では、①相続税の基礎控除の引き下げ、②相続税の最高税率の引き上げ、③死亡保険金に関する非課税限度の縮減、④未成年者控除・障害者控除の引き上げ、⑤子や孫などが受贈者となる場合の贈与税の税率構造の緩和、⑥相続時精算課税制度の対象となる受贈者への孫の追加、といった措置を盛り込んでいましたが、国会における審議の結果、これらについてはすべて見送られることになりました。
これらの事項については、廃案とするのではなく、平成27年1月1日以後の相続・贈与から適用される予定です。
2,平成24年度の税制改正はどうなるのか
相続・贈与に関する主な改正ポイントは、以下の2点になります。
(1)住宅取得等資金の贈与税非課税の延長
1 暦年贈与により住宅取得等資金を受けた場合の非課税
平成23年中において父母・祖父母から住宅取得等資金の贈与を受けた場合には、上限1,000万円の非課税措置が設けられていました。
この特例を受けた住宅取得等資金は、相続開始前3年内の贈与であっても、相続財産に加算する必要はありません。
平成24年以降は、特に省エネルギー性及び耐震性を備えた良質な住宅用家屋は、より非課税金額が拡大されて延長になる予定です。
贈与を受けた年 ※良質な住宅用家屋の
非課税金額 左記以外の住宅用家屋の
非課税金額
平成24年 1,500万円 1,000万円
平成25年 1,200万円 700万円
平成26年 1,000万円 500万円
※良質な住宅用家屋…省エネルギー性及び耐震性を備えた住宅用家屋
適用対象となる新築、増改築は以下の要件となります。
① 新築・購入の要件
イ 家屋の登記簿上の床面積が240㎡以下であること。
ロ 中古住宅を購入する場合は、耐火建築物は築25年以下、非耐火建築物は築20年以下であること。
ハ 床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されるものであること。
② 増改築等の要件
イ 増改築等の工事に要した費用が100万円以上であること。
ロ 増改築等後の家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されること。
ハ 増改築等後の家屋の登記簿上の床面積が240㎡以下であること。
東日本大震災により住宅用家屋が滅失した受贈者については、以下のようになる予定です。適用対象となる住宅用家屋の床面積は50㎡以上です。
贈与を受けた年 良質な住宅用家屋の
非課税金額 左記以外の住宅用家屋の
非課税金額
平成24年 1,500万円 1,000万円
平成25年 1,500万円 1,000万円
平成26年 1,500万円 1,000万円
2 相続時精算課税制度により住宅取得等資金を受けた場合の非課税
親から住宅取得等資金の贈与を受けて居住用家屋を新築等した20歳以上の子は、その住宅取得等資金の贈与は1,000万円まで非課税とする特例について、適用期間は平成23年12月31日までの贈与とされていました。今回の改正で3年延長され、適用期間は平成26年12月31日までの贈与とされる予定です。
3 まとめ
よって、贈与税0円で住宅取得資金等を以下の金額まで贈与できます。
【図①参照】
(2)相続税の連帯納付義務の緩和
相続税の連帯納付義務については、相続後長期間が経過した後に履行を求められるケースがあることから、そうしたケースの発生を防止するために連帯納付義務が緩和される予定です。
具体的には、申告期限等から5年を経過した場合、又は納税義務者が延納もしくは納税猶予の適用を受けた場合には、連帯納付義務が解除される予定です。ただし、申告期限等から5年を経過した時点で連帯納付義務による納付を求められている場合には、連帯納付義務は解除されません。
この取扱いは、平成24年4月1日以後に申告期限等が到来する相続税と、平成24年4月1日において滞納となっている相続税について適用される予定です。

これだけは知っておきたい!相続・贈与
【貸店舗を建設した際の協力金は税務上、どう扱いますか。】
相続新聞社サイト第57回(回答)はこちら
1.工事代金をテナントから徴収する方法
「建設協力金方式」とは、貸店舗などを賃貸するに当たり、テナントから建設費用の全額、または一部を建設協力金(保証金)として徴収し、工事代金の支払いに充てるものです。貸店舗などを建てる際などに広く一般的に採用されている方式です。
建設協力金はテナントへ返還される預り金ですが、返還方法は、「一定期間は無利息で据え置き、その後に長期(10年~20年)に分割返済する」という方法が多く見受けられます。
ただし無利息の建設協力金を受け取ると、負担すべき支払い利息分だけ得することになるので、この経済的利益に贈与税が課税されるはずだという考え方もあります。しかし、実際の賃料は、建設協力金を無利息で受け入れたことによる経済的利益を考慮して定められていると考えられます。
つまり、建設協力金を受け入れなければ、それだけ賃料を多額に受け取れるはずですから、一方的な贈与ではなく、賃料と支払い利息は相殺関係にあるのです。 この場合には、結局は賃料の減少により、実質的には利息を負担しているものと考えられます。したがって贈与税はかかりません。
なお建設協力金に対する相続税の評価方法としては、建設協力金を全額返済しないで死亡した場合には、通常の借入金と同様にその全額が債務控除の対象となります。
つまり、無利息である経済的利益を将来においても得られるとして、割引計算をして評価する必要はありません。 なお、定期借地権設定時に受け取る保証金の場合には、割引計算が行われ、割引現在価値で評価され、保証金全額は債務控除できません。
2.利息への贈与税もかからない
金銭を無利息で提供された場合には、通常の利率により計算した利息との差額に相当する金額は、経済的利益を受けたことになり、原則として収入金額として取り扱われます。
しかし、預かった建設協力金を賃貸する建物の建設資金に充てた場合には、銀行などから借入をして利息を支払ったときと比較し、借入金の利息相当額だけ経費が少なくなり、所得が多く計上されます。
つまり、建設協力金の無利息分を収入として計上しなくとも、通常であれば経費とするであろう借入金利息分を経費にはしていないのですから、結果としては、無利息分を収入として処理したのと不動産所得は同じです。
したがって、無利息で預かった建設協力金の経済的利益については、別途加算して所得税を課税することはありません。
これだけは知っておきたい!相続・贈与
【居住形態と小規模宅地の特例の適用】
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平成22年4月1日から、居住用の小規模宅地の特例の適用には、同居か否かの判断が重要になっています。最近では敷地が狭いこともあって、2世帯住宅等、様々な居住形態があります。どのような時に同居を認められて特例の適用が受けられるのか、其々の居住形態で適用の有無を説明します。
(1) 二世帯住宅の場合
① 内階段等の場合(構造上区分なし)
A) 母が相続した場合 → 240㎡が適用対象
配偶者の場合は申告期限前に、売却を含め、住まなくなっても適用があります。子供が親を引き取ることも考えられるからです。
B) 子が相続した場合 → 240㎡が適用対象
子供の場合は、相続税の申告期限までは継続して所有・居住が条件です。
② 外階段等の場合(構造上区分あり)~子と父・母は生計が一でない場合~
1. 配偶者(母)ありの場合
A) 母が相続した場合 → 全体の敷地の1/2(120㎡)が適用対象
母が住んでいた2階相当分については、特定居住用宅地等の特例の適用対象となりますが、子が住んでいた1階相当分ついては、子を同居親族として取り扱えないことから、適用対象となりません。
B) 子が相続した場合 → 同居が認められず適用なし
子が相続した場合は、1階部分に居住する子は、同居と認められません。
従って敷地全体が特例の適用対象となりません。
2. 配偶者なしの場合
父親が亡くなり母親と子供が二世帯住宅に住んでいた場合
→ 子が相続することにより240㎡が適用対象
2階部分に他の相続人が居住していない場合は、母親が居住していた2階部分も含めて特定居住用宅地等の適用対象となるため、240㎡が適用対象となります。
① 同住宅の全部を被相続人又はその親族が所有
② ②適用を受ける親族が、被相続人が居住の用に供していた独立部分以外の独立部分に居住
③ 被相続人の配偶者がいない又は被相続人の独立部分に同居親族(相続人)がいない
という要件をすべて満たせば、他の独立部分に居住していた親族が「同居親族」とする申告をしたときは、これを認めるという“柔軟”な 扱いがなされています。
(2) 同じ敷地の別棟の家屋に居住している場合
① 配偶者ありの場合
A) 母が相続した場合 → 全体の敷地の1/2(120㎡)が適用対象
B) 子が相続した場合 → 同居が認められず適用なし
② 配偶者なしの場合
母親が亡くなり父親と子供が同じ敷地の別棟の家屋に住んでいた場合
A) 子の自宅が子名義の場合 → 同居が認められず適用なし
B) 子の自宅が父名義の場合 → 同居は認められないが、「家なき子」として120㎡が適用対象
※ 俗称「家なき子」
①被相続人に配偶者又は同居親族がいない場合で、
②被相続人が居住の用に供していた宅地等を、
③上記②の宅地等を取得した親族が、
④相続開始前3年以内に日本国内にある、
⑤本人(親族)又は配偶者の所有する家屋に居住したことがなく、
⑥申告期限まで継続保有すること(居住要件なし)
相続税の調査のポイントを教えてください。
●相続税の税務調査
法人税や所得税と同じように、申告した人全員を調査する訳ではありませんが、他の税金と比べ、調査する率が圧倒的に高いのが相続税の調査です。
税務署は調査に来る前に、申告内容について、銀行や証券会社に書面などで照会し申告漏れがないか調査します。その中で、疑問や不審な点のある人が調査対象に選ばれます。また、遺産総額が高額な人はあまり問題が無い場合でも選ばれます。調査される人は申告数の約30%です。国税庁の発表によると、その調査を受けた申告のうち、約85%で申告漏れがあったとのことです。
●調査のポイント
調査では、金融資産のような隠しやすく見つかりにくい財産を中心に調査します。国税庁の発表によると昨年の申告漏れの約56%が、預貯金や有価証券などの金融資産でした。
かつては、割引債や郵便貯金は見つからない(見つかりにくい)という噂もあったようですが、実際は隠しても発見され易く、罰金まで課されますから、止めたほうが良いと思います。最近では、海外の金融資産の申告漏れも多くなっているようです。
今回は、調査で指摘される可能性の高い金融資産のポイントをご説明します。
1、本人の預貯金
亡くなる前の約3年~5年の期間にわたって引き出した100万円以上の金額については、何に使ったのかを質問されます。これは、隠し預金や本人以外の名義の預金になってないか、申告されていない他の資産の購入に充てていないかを確認するためです。また、生前に不動産の売却などをしている場合には、亡くなる10年から20年前までも遡って、その売却代金がどのように使われたかが調査されます。
最近の調査では、保険については掛け金が多額でなくとも、本人の口座から引き落とされている保険の契約内容を確認し、本人の死亡保険や家族名義の保険が申告漏れになっていないかについても綿密に調べられます。
2、名義預金
預金は、本人名義は当然として、本人名義だけでない妻名義の預金や子供名義・孫名義の預金も調査の対象になります。株や投資信託などの有価証券についても同じです。
これは、名義は違っていても、その名義人に収入が無ければ、その財産は亡くなった方が出していたと考えられ、形式的な名義人のものとは認められません。所得から考えて多額な預金が相続人である子供名義などになっている場合も同様です。これを、名義預金と言います。名義を借りただけの預金を作っても認められませんから、生前に贈与という形で、財産を引渡した証拠と贈与税の申告を適正にしておく事が必要です。
●調査の当日に聞かれること
①本人の職歴、経歴など・・・
どのようにして財産を作ったかの確認。先祖からの相続か自分で働いて残したのかを知るため。
②相続人の職業、家族の状況など・・・ 相続人の所得、収入、支出を知り、多額な預金等が相続人の名義で残っていないかを知るため。
③本人の趣味・・・
宝石、書画、骨董、ゴルフ会員権などが財産として無いか。
④権利書、通帳等の保管場所・・・
大事なものを何処に保管しているかを聞き、後で隠し財産などの現物確認をし易くするため。貸金庫や家庭の金庫は必ず見られます。その他、いわゆる「家探し」をされる事もあります。
Q、相続税の課税方式が大幅に改正される予定のようですが、どのように変わりますか?
A、来年度、相続税の課税方式が現在の法定相続分課税方式から遺産取得課税方式に変更される予定です。
以下Q1~Q6で詳しく説明します。
Q1、なぜ、相続税の課税方式が変更になるのですか?
A1、中小企業の後継者の相続税の負担を80%も軽減する事業承継税制の制度化によって、現行制度であると、事業を相続しない相続人の相続税も軽減されてしまうので、それを防ぐためとされています。
Q2、現在の相続税の課税方式(法定相続分課税方式)はどのような方式ですか?
A2、遺産取得課税方式を基本として、相続税の総額を法定相続人の数と法定相続分によって算出し、それを各人の取得財産額に応じて按分して課税する方式です。(図表1を参照)
Q3、現在の課税方式にはどのような特徴がありますか?
A3、①法定相続割合に応じて相続税を計算するので、法定相続人の人数が多いと相続税が安くなります。
②また、例えば、長男・次男・三男の三人が相続する財産額が違っていても、三人が負担する税率は同じです。各人は取得財産額に応じて按分された額、税額を負担します。
③自己が取得した財産だけでなく、他の相続人が取得した全ての財産を把握しなければ正確な税額の計算・申告ができません。
④居住や事業の継続に配慮した課税価格の減額措置により、居住や事業の継続に無関係な相続人の税負担も軽減されます。
Q4、変更予定の遺産取得課税方式はどのような方式ですか?
A4、相続等により遺産を取得した相続人を納税義務者として、その者が取得した遺産を課税物件として課税する方式です。(図表2参照)
Q5、新しい課税方式にはどのような特徴がありますか?
A5、①個々の相続人に対して、その取得した財産の額に応じた税額の計算がされるので、同額の遺産を取得した者には、同額の税負担となります。
②法定相続人の数に関係なく、多くの財産を取得した相続人には、累進税率が適用される
関係で相続税の負担が増大すると考えられます。
③課税価格の減額措置は、居住や事業を継続する者のみに減税効果がおよび、他の相続人
の税負担は、軽減されませんが、個々の相続人の担税力に応じた課税をすることができます。
④遺産分割の仕方によって遺産全体に対する税負担に差異が生じます。
※例えば、相続人が多くかつ均分で相続する場合の方が、そうでない場合よりも税負担の総額は低くなる。
Q6、平成21年の税制改正が決まった場合どのように実施されますか。
A6、平成21年の税制改正で具体的な法案内容が決まり、法案が可決したら、平成20年10月1日に遡及して適用される予定です。

Q、相続税の納税時に土地を物納したいのですが、現在の物納制度はどのようになっていますか?
A、物納申請時に提出する書類が厳格化され、不動産の登記簿謄本・測量図・境界確認書等が申告同時申請となりました。
以下Q1~Q4で詳しく説明します。
Q1、以前は物納申請書を申告期限までに提出すれば良かったはずですが。
A1、平成18年4月1日からは、いわゆる「とりあえず物納」が出来なくなりました。
物納申請時に提出する書類が厳格化され、不動産の登記簿謄本・測量図・境界確認書等が申告と同時申請となり、事情がある場合でも、最長で一年しか延長できなくなりました。
Q2、従来は土地などの物納物件が税務署に収納されるまでは、金利が掛からず無利息でしたが、変更はありますか?
A2、物納申請時に提出する書類の期限が、相続税の申告書の提出期限までと変更された関係で、申告期限までに提出書類が準備できないで遅れた場合には、利子税が創設され、年4.4%かかります。但し3ヶ月ないし6ヶ月の審査期間中の金利は免除されます。
Q3、現金、預金があっても土地を物納できますか?
A3、現金、預金があれば現金納付が優先されます。従来も相続財産に現金、預金及び換価容易な財産があれば当然優先納付の対象になりましたが、さらに、相続財産だけでなく、相続人である子供たちの現金、預金等も優先納付の対象となるように改正されています。
Q4、物納できる金額はどう計算されますか?
A4、先に説明したように、納税はまず現金、預金での納税が優先されます。第二順位は延納になります。それでも物納できない税金があれば物納可能となります。そこで延納できる金額を計算し、次に物納できる金額を計算します。
資産の相続税対策を考えるとき、贈与も検討するべきでしょうか?
相続時精算課税制度を利用した贈与方法について教えて下さい。
相続時精算課税制度は、贈与税と相続税を一体にして課税する制度ですが、2,500万円(住宅取得では3,500万円)と大きな非課税枠が設定されており、生前贈与がやりやすくなっています。
以下Q1~Q3で詳しく説明します。
Q1、相続時精算課税制度の仕組みを教えてください。
A1、この課税制度を利用すれば、2,500万円まで贈与税が課税されません。
2,500万円を超えた金額には一律20%の税金がかかります。3,000万円の贈与であれば、非課税枠2,500万円を500万円超えますので、500万円に20%の贈与税100万円が課税されます。
計算式 (贈与金額-2500万円)×20%=税額
この制度は、生前贈与を相続と一体的に捉え、生前贈与は、無かったものとして、相続時に取り込んで合算します。ですから、相続税の節税にはなりません。
Q2、住宅資金の贈与の場合にはどうなりますか?
A2、2,500万円に1,000万円加算され3,500万円までは非課税となります。この場合には、65歳以上と言う、贈与者の年齢制限もありません。
住宅取得資金の制度を比較すると表1のとおりです。但し、1,000万円加算の適用は、平成19年度中に贈与に限られます。
Q3この制度を利用する場合の注意点を教えてください。
A3 ①従来型の贈与110万円の贈与とのダブル適用はできません。
②一度採用したら、従来型の110万円贈与には戻れません。
③父と母それぞれから2,500万円の贈与を受けることができます。
④父から2,500万円、母から従来型の110万円の贈与も可能です。

定率法により減価償却されたアパートを相続した時の減価償却費の計算は?
アパートを相続した時、被相続人の取得価額を基礎として定額法で計算します。
以下Q1~Q6で詳しく説明します。
Q1、私は父よりアパートを相続しました。父は不動さん所得の申告で建物の減価償却の方法として定率法を採用して申告をしていましたが、定率法をそのまま採用することができますか?
A1、定率法の採用はできません。建物については、平成10年4月以後の建築や取得については定額法しか適用できないようになっています。父親は税制改正後も定率法を採用して申告をしていましたが、相続の場合にも「取得」となり、相続以後子供は定率法を採用できません。
Q2、そうしますと、定率法から定額法に変更する場合の規定を適用して、未償却残高を取得価額として減価償却費を計算するのですね?
A2、そうなると思いがちですが、建物の建築は税制の改正前からですから、定率法から定額法に変更する場合の規定は適用されません。
Q3、では、どのように計算するのですか?
A3、取得価額については、未償却残高ではなく、父親の取得価額をそのまま使います。したがって、毎年の減価償却は未償却残高で計算するより多額になります。
Q4、でも、最終的な減価償却の合計額は父親の取得価額まで(平成19年の税制改正で、減価償却費が全額償却できることに変更されました。)だと思いますが?
A4、その通りです。減価償却の合計額は取得価額までですから、最初から定額法を採用していたのと比べると、減価償却の期間が短くなります。
以上の関係を具体的な数字で表すと下記別表になります。
Q5、アパートを相続登記した費用は経費になりますか?
A5、経費になります。
Q6、以前は、相続は事業用に関係ないという理由で経費には出来なったと思いますが?
A6、平成17年1月1日から取り扱いが変更され、この日以後の相続開始については、事業用不動産に関しては経費で処理できるように改正されました。

自宅を建てるので親から資金を借り入れたいと思います。どのような点を注意したらよいですか?
親からの借り入れであっても借用書を作成し、ちゃんと返済すれば借入金として認められます。返済が無理であれば、住宅取得資金の贈与の特例を採用すべきです。
以下Q1~Q10で詳しく説明します。
Q1、親子間での貸し借りを税務署が認めてくれますか?
A1、親子や兄弟などの親族間の金銭貸借は、とかく問題視されますが、税務署は親からの借り入れは「認めない」とか「贈与」だといっているわけではありません。
Q2、しかし、実際に贈与税を払った人も多いようですが?
A2、それは、とかく親からの借入が「ある時払いの催促なし」で、それでは「借入金」ではなく貰ったのと同じだから、贈与税を課税したのだと思います。
Q3、では、どうすれば親からの借入金として認められるのですか?
A3、借入金であれば借入金であると認められるように、まず、借用書を作成し、借り入れた事実と返済条件を明確にしておくべきです。記載例は下記別表のとおりです。
Q4、毎月の返済額はどのように決めればよいでしょうか?
A4、収入に応じた借入金の返済金額で無理がないように心がけてください。毎月の返済額が給料以上を上回るようなことは認められません。つまり、借入金の返済金額には公庫や銀行などからの借入金も考慮に入れ、借入金を返済しても生活ができなければだめです。
Q5、返済することが無理な時は、どうすれば良いですか?
A5、相続時精算課税制度の住宅取得資金の贈与の特例の運用を考えてみましょう。この特例を受ければ、3500万円まで贈与税が非課税です。この規定は平成19年12月31日までの適用です。
Q6、借入金の利息はどうすればよいのですか?
A6、社内融資でも利息は1~2%は取られるのですから、親子間でも1%程度の利息は付けておくのが自然です。
Q7、利息を受ければ借入金とは認められないですか?
A7、利息をつけない場合には、子供に「利息相当の贈与」があったと取り扱われるだけです。このことだけで借入金が否定されることはありません。
Q8、「利息相当の贈与」の金額はどう計算するのですか?
A8、利息が付けられていない場合には、商事利率6%(民事利率5%という考えもあります)で計算します。例えば、借入金が1000万円の場合、1000万円×6%=60万円となります。この金額が贈与税の基礎控除110万円以内であれば、贈与税は課税されません。
Q9、利息をつけたとき、利息を受け取った親には、所得税は課税されますか?
A9、親が受け取った貸付金の利息は親の雑所得となり、所得税が課税されます。なお、サラリーマンの方で雑所得の合計が年間20万以内であれば、申告不要ですからこの金額までであれば課税されないことになります。例えば、借入金が1000万円の場合、1000万円×1%=10万となり、この金額であれば、所得税の申告は不要です。
Q10、返済は、親に現金を渡し、領収書をもらっておけばよいのですか?
A10、現金で直接渡すより、返済した事実を後日証明できる銀行振込が望ましい。こうしておけば、返済した証拠が明確になりますので税務署への説明が簡単です。

父親名義のアパートを子供に贈与して子供の収入を増やしてやりたいと思いますが、子供にとって有利でしょうか?
アパートの贈与に対して贈与税が心配なのだと思いますが、収入があるアパートの贈与は、相続税対策でも所得税対策でも子供にとって有利です。
以下Q1~Q8を詳しく説明します。
Q1、父親のアパートを子供に贈与しようと思いますが?
A1、収入をうみ続けるアパートを贈与すると有利です。建物は贈与税評価額で評価されますので、建築価額の約40%程度の評価となります。しかも、贈与したアパートで今後得られるであろう家賃収入には贈与税は課税されません。お父さんが持っていれば、お父さんの財産が増えていき相続税が増加します。だから子供に収入をうみ続けるアパートを贈与すると子供にとって有利とされています。
Q2、不動産所得を計算する減価償却費は建築価額を基礎に計算できますか?
A2、減価償却費は評価額ではなくて、建築価額を基礎として計算します。贈与の場合は、取得価額は引き継がれます。また所得の高いお父さんから税率の低い子供に収入が移転すれば、所得税対策にもなります。
Q3、注意すべきことはありますか?
A3、相続時精算課税を利用しての贈与であれば2500万円までは非課税ですから新築で物件の贈与も可能だと思いますが、一般贈与の場合には非課税枠が110万円しかありませんから、建物年数が古く評価額の低い物件を選ばないと贈与税が大変です。
Q4、現金ではなく借入金でアパートを建築して、借入金付でアパートを贈与した場合にはどうなりますか?
A4、このような贈与は「負担付贈与」と言われ、建物は贈与税評価額でなく時価評価額の対象、つまり、建物の建築価額(未償却残高)での評価となります。時価評価となれば、予定していた節税が果たせなくなりますので、借入金付での贈与は出来ないことになります。
Q5、ではどうすれば良いのですか?
A5、贈与税評価額で贈与することにこだわらず、建物を子供に時価で売却すると考えると解決します。
Q6、でも、建物を子供に売却すると税金が掛かるのでは?
A6、建物の場合には建物の未償却残高を時価を考えて良いことになっていますので、税金は発生しません。
Q7、子供名義にするメリットを具体的に教えてください。
A7、タイミングによってメリットは2パターンに分かれます。
①建築年数が経過して、未償却残高が相続税評価額と同じ金額かそれ以下になると、今後は、父親の名前で置いておくと、借入金効果よりむしろ、収入分だけ相続財産が増えるので、相続税対策上不利になりますから、積極的に子供名義にした方が有利です。
②ローサイドの店舗のように建築費が安く、借入金による相続税対策より、所得税対策として、収入の割合が多いような場合には、収入の分散を重視して子供名義にした方が有利です。
財産が少なくて相続税がゼロだったとしも争いは起きるでしょうか?
相続税がゼロでも相続財産がゼロではありませんから、相続人の意見が異なれば、争いは起こります。
やはり財産が少なくとも、遺言は必要です。
以下Q1~Q3で詳しく説明します。
Q1、どのような場合に相続争いが起こりますか?
A1、①子供たちが何人かいてそれぞれが結婚している場合には、相続人のお嫁さんやお婿さんなど血のつながりのない人の意見がでてスムーズに行かない。
②親が離婚、再婚、養子縁組など複雑な家族関係がある場合には日常的な付き合いも少ないから意見がまとまらない。
③妻のほかに愛人がいて子供が生まれているときなどは、利害が反するのでトラブルになります。
④夫婦に子供がなく、妻と夫の兄弟姉妹が相続人になる場合には、夫の財産を他人に取られるような関係になりトラブルになります。
Q2、では、遺言書を書く場合にどのように記載すればよいですか?
A2、遺言書を書く場合にはまず、
①「遺言書」と書きます。
②次に遺産をもらう人の名前を書きますが、法定相続人は「妻 森田和子」「長男 森田太郎」のように書きます。
③土地や建物は登記簿謄本を見ながら、「東京都○○○区篠崎町○町目三番 宅地 二〇〇・三五平方メートル」のように登記簿どおりに書いてください。記載に漏れがあると登記できないことになりますから注意してください。
④預金や株券はほかの財産と区別できることが必要ですから、「遺言者名義の△△銀行○○支店の預金金額」というように財産が特定できるように記載します。
⑤なお、財産を渡す文言は「遺贈する」ではなく、「相続させる」と書きます。
Q3、このことを、ふまえた遺言書の文例を教えてください。
A3、下記の文例を参考にしてください。

相続税を支払うために、相続した土地を売却した場合、譲渡税はどうなりますか?
相続した土地を売却した場合には、相続税相当額を
取得費に加算する特例があるため譲渡税が非課税と思いがちですが、土地以外の財産が大きい場合には、課税されますので注意してください。
以下Q1~Q5で詳しく説明します。
Q1、土地を売却した場合の税金はどう計算するのですか?
A1、土地の売却代金から取得費〈購入代金が分からない場合は売却代金の5%です)と仲介手数料や印紙代などの譲渡費用を控除した金額に税率を乗じて計算します。
計算式:売却代金-(取得費+譲渡費用)=譲渡所得×税率=譲渡税
Q2、相続した土地を売却した場合はどう計算しますか?
A2、①相続税を取得費として加算することができます。
②ただし、相続税の申告書の提出後3年以内の譲渡であることが条件です。
計算式:売却代金-(取得費+加算される相続税+譲渡費用)=譲渡所得
Q3、加算される相続税はどのように計算しますか?
A3、取得費に加算する相続税は、相続した財産に課税された相続税の全額ではなく、全財産のうち土地に対応する部分に限られます。下記の計算式①を参照してください。
Q4、相続税と同額の土地を売却すれば、譲渡税は課税されないのですか?
A4、相続税と譲渡税の二重課税という重税を緩和するために設けられた規定ですが、取得費に加算するのは相続税の総額ではなく、全財産のうち土地に対応する部分に限られますので、土地以外の建物や現金預金などの財産が大きい場合には、譲渡税が課税されます。(設例参照)
Q5、子供(相続人)が従来から持っていた土地を売却し、相続税を支払った場合には、どうなりますか?
A5、相続税の取得費への加算は、親などから相続した場合に適用がありますが、贈与や購入によって従来から子供が持っていた財産を売却して相続税を支払っても適用はありません。通常の譲渡税を支払うことになります。

夫婦間の居住用不動産の贈与には、配偶者控除の特例があるそうですがどのような制度ですか。
贈与税では、110万円の基礎控除のほかに夫婦間の居住用不動産の贈与には、2,000万円の配偶者控除の特例があります。この特例を受けるためには婚姻期間が20年以上あることなどの一定の条件が必要です。
以下Q1~Q6で詳しく説明します。
Q1、私達は、婚姻期間が20年以上になりますので、この条件は大丈夫ですが、それ以外の条件はどのようなものがありますか。
A1、① 居住用の土地や建物、またはこれらを取得するための資金(金銭)の贈与であること。
② 取得(贈与)の翌年3月15日までは居住し、かつその後も引き続きそこに居住する見込みであること。
③ 以前に、この配偶者の特別控除を受けていないこと。つまり、この特例は一生に一度しか受けることができないということです。
④仮に、贈与税がなくても、贈与税の申告をすることです。
Q2、居住用の不動産の贈与であれば、家屋と土地を一緒に贈与するのが自然だと思いますが、家屋だけの贈与や、土地のみの贈与をすることも可能ですか。
A2、家屋だけ、土地だけの贈与でも認められています。
Q3、不動産の場合には、土地は、路線価等、建物は固定資産税評価額を基準にして評価するようですが、土地と家屋どちらの贈与がよいですか。
A3、家屋は、将来取り壊されることになるため、土地のみを贈与する人が多いようです。また、将来売却するような事態が予想される場合は、土地だけでなく家屋も贈与すると良いでしょう、そうすれば、居住用の3,000万円控除は夫と妻の2人で受けることができます。
Q4、登記するときに掛かる費用はどれくらいですか。
A4、登記にかかる登録免許税の税率は①家屋のみ ②土地のみ ③家屋と土地のいずれのケースも同じです。
建物・土地固定資産税評価額 × 2% = 建物・土地の登録免許税
例えば、固定資産税評価額が2,000万円だとすると、40万円(2,000万円×2%)となります。
Q5、不動産取得税はいくらかかりますか。
A5、不動産取得税は①家屋のみ ②土地のみ ③家屋と土地の場合で税額が違います。
家屋と土地を一緒に贈与した場合には課税されないことがほとんどです。
① 家屋のみの贈与の場合
(建物固定資産税評価額 - 控除額)× 3% = 不動産取得税
※ 既在住宅については建築年数によって控除金額が違います。表1参照
例えば平成9年4月1日以降の建物であれば1,200万円の控除があるので、固定資産税評価額が2,000万円で24万円{(2,000万円-1,200万円)×3%}となります。
② 土地のみの場合
土地固定資産税評価額 × 1/2 × 3% = 不動産取得税
☆ →住宅用家屋の取得を伴わないので税額控除の特例は受けられません。
この場合は控除がありませんので、2,000万円×1/2×3%=30万円となります。
③ 家屋と土地の場合
(建物部分)
(建物固定資産税評価額 - 控除額)× 3% = 建物分不動産取得税
(土地部分) ①
(土地固定資産税評価額 × 1/2 × 3%)― 税額控除 = 土地分不動産取得税
①税額控除
(イ)45,000円
(ロ)(1㎡当りの土地評価額)× 1/2 × (住宅の延床面積の2倍)× 3%
(ハ)(イ)と(ロ)のいずれか多い金額
この場合には、家屋も土地も控除額があるので、一般的には不動産取得税は課税されません(計算過程は省略しました)。
Q6、この贈与の特例を受けるために贈与税の申告書に添付する書類を教えてください。必要な書類は次の通りです。
A6、① 戸籍の謄本または抄本(贈与を受けた日以後10日以上経過してから入手したもの。)
② 戸籍の附表。
③ 住民票(居住した日以後のもの)
④ 贈与を受けた不動産の登記簿謄本
⑤ 相続税評価額の分かる書類
イ、 家屋は固定資産税評価額
ロ、 土地は路線価などで評価した明細表

相続税を支払う時、土地などで収めることができる“物納制度”が改正されたそうですが。
物納制度が改正された理由は、物納申請をしてから許可を得るまでに、かなりの時間がかかることがあります。待たされたあげく、許可にならないという例もあって、相続税の物納手続きの明確化、迅速化のため大きく改善整備されました。
以下Q1~Q7で詳しく説明していきます。
Q1、物納制度が改正されたのは何故ですか。
A1、相続税を払う資金を用意できない場合は、納付を延期してもらう延納と、土地などの財産を国に納める物納が認められています。
物納制度が改正された大きな目的としては、物納手続の明確化、迅速化が挙げられます。従来、物納の処理スピードは遅く、物納申請の許可を得るまで1年以上かかることも珍しくありません。ひどい場合は10年以上も待たされ、その挙句、最終的に物納が認められずに延滞税などのペナルティーが課税されるといった事例もあります。物納制度そのものに対する不満の声が近年は高まっていました。
Q2、従来不明確であった物納が出来るもの、出来ないものが明確になるようですが。
A2、①これまで不明確だった、物納不適格財産(物納できない財産)と物納劣後財産(他に物納適格財産がない場合に限り、物納を認める財産)の範囲が明確になります。
②つまり、物納不適格財産については「抵当権が設定されている不動産」「境界が不明確な土地など」など、範囲を限定列挙され、ここに記載がない不動産を物納可能とします。
物納劣後財産についても「市街化調整区域内の土地(農地、山林など)」「無道路地」「崖地など」など、明確な範囲が記されます。
③また、物納申請した財産が物納不適格財産、物納劣後財産に該当する場合で、他に物納適格財産があるときには、当該物納が却下されます。この場合、申請者は当該却下の日から20日以内に一度だけ、物納の再申請をすることができます。
Q3、また、物納手続明確化の一環として、達成期限が設定されるようですが。
A3、①はい、不動産の登記簿謄本、測量図、境界確認書などは、従来は物納申請時から1年ほど経過後に提出していましたが、これが申告と同時の提出となります。万一、不備があった場合には、税務署から請求後20日以内に再提出しないと取り下げとなります。
②税務署長は廃材の撤去などの物納財産を収納するために必要な措置をすることを申請者に請求でき、税務署が定めた期限内(1年以内の期限)にできなかったときは、取り下げとなります。
③物納申請に不備があったときや、取り下げになった場合は、補正の請求があった日から最長1年間の延長ができます。
Q4、物納手続の迅速化のため 物納申請の許可に関する審査期間が法で定められるようですが。
A4、①はい、物納申請の許可または却下は、物納申請期限から3ヵ月以内に行なうことになります。ただし、物納財産が多数となるなど、調査等に相当の期間を要すると見込まれる場合には6ヵ月以内とすることができます。また、物納申請を却下されても、却下されてから20日以内であれば延納申請ができます。
Q5、従来は延納から物納への切り替えは出来ませんでしたが、今回の改正から、延納から物納へ変更できる制度がスタートするようですが。
A5、相続税を延納中でも、資力の状況の変化により、納付が困難となった場合、申告期限から10年以内に限り、延納の残額を限度として、物納を選択することができる制度が創設されます。この場合における物納財産の収納価格は、その物納申請時の価格となります。
Q6、物納期間中であっても利子税が課税されることになるようですが。
A6、はい、物納による納付が完了されるまでの間は利子税が課税されます。ただし、審査期間中は免除されます。
Q7、今回の改正は何時から適用されますか。
A7、平成18年4月1日以後の相続開始から適用されます。