税務Q&A
不動産管理会社の活用法を教えてください。
【不動産管理会社の3つのメリット】
所得税対策として実際によく行われているのは、妻や子供を役員や従業員として管理会社を設立。その会社に地主さん(Aさん)が家賃の一定割合を管理料として支払うことにより、Aさんひとりに集中している所得を、給料として家族に分散させるというものです。
所得税は累進課税ですから、所得を分散させれば税率を引き下げることができます。さらに、給料をもらった家族はそれぞれ給与所得控除を受けられますから、全体で見るとダブルの節税効果があるわけです。
ここまでは一般の本などでもよく紹介されています。しかし、会社を設立することによる大きなメリットは、むしろ相続対策にあると考えられます。例えば管理会社から子供が受け取る年間給与が300万円とすると、Aさんは自分の所得税を節税しながら、なおかつ相続人である子供に毎年300万円を生前贈与するのと同じ効果を得ることができます。子供が2人いれば、年間600万円、10年で6,000万円です。仮にAさんの相続税の税率が50%とすると、単純に考えれば3,000万円の節税効果があることになります。
また、不動産管理会社を設立して子供にも責任を持たせることによって、親子が共同で相続対策を考える土台ができます。財産について親と子が冷静に話し合うというのはなかなか難しいものですが、会社を通すことによってスムーズに事業や資産を承継ができるというのも、大きなメリットといえるでしょう。
【所得税対策に活用する不動産管理会社の運営方式】
前述したように、不動産管理会社を利用した所得税対策では、土地を所有する個人が自分の名義で賃貸物件を建築し、不動産管理会社を「経由」することによって、オーナーに偏りがちな収入を家族に分散し、節税をはかります。この場合の不動産管理会社の運営形態としては、管理委託方式と転貸方式次の2つが考えられます。
■管理委託方式(図表1)
オーナーが不動産管理会社へ管理料を支払う方式です。具体的には、オーナーが所有する賃貸物件を賃借人(テナント)に賃貸するときに、管理会社が仲介などを行い、管理を代行することによって管理料を受領します。
支払った管理料は、オーナーの不動産所得の計算上は、経費となります。一方、管理会社が受け取った管理料は管理収入となります。この方式では、管理会社の業務は賃貸料の集金、清掃、借家人などのトラブルの調整等、比較的簡単な仕事であり、管理料としては家賃収入の5~7%程度が妥当と考えられています。
この方式の欠点は管理会社の収入が少なくなること、また管理料を受け取るために管理会社がどれだけの仕事をしたかが常に問題となることです。
■転貸方式(図表2)
オーナーがマンションを不動産管理会社に一括して賃貸し、これを管理会社がさらに賃借人(テナント)に転貸する方式で、一般的には「一括借上システム」と呼ばれています。賃借人から受け取る家賃と、オーナーへ支払う賃料との差額が、管理社会の収入となるわけです。この方式は、オーナーに家賃を保証することから、オーナーは安定した賃料収入があります。
一方、不動産管理会社は、空室保証のリスクを負うことになります。一般にこの方式は、大手不動産管理会社が賃貸料の保証をする方法として利用されています。保証料は地域差や保証内容にもよりますが、家賃収入の10%~20%ぐらいが多いようです。
■注意点
いずれの方式も適正な“管理料”“転貸料”をいくらにするかです。管理会社に残る金額が大きいほどオーナーさんにとっては節税にはなりますが、その金額が経済的に合理性を持っていなければ認められません。
過去の税務調査でも、30%~50%の管理料と設定した場合には、否認されています。
したがって、いずれの方式においても、一般の不動産管理会社が採用している基準を超えないようにすることがポイントになります。

アパート経営を始めました。税務署への届出や帳簿の記帳は必要ですか。
事業を開始したら、税務署へ個人事業の開業届出書などを提出しますが、提出しないと税務上不利になることがあります。また、帳簿の記帳も必要です。
以下Q1~Q7で詳しく説明します。
Q1、アパート経営を始めました、どんな届出書を何時まで提出すればよいでのでしょうか?
A1、届け出る書類と期限を一覧で示すと表1の通りです。
Q2、私は19年10月にアパートの経営を開始しましたので、事業開始から1ヶ月を既に経過してしまいましたが、「個人事業の開廃業届出書」はどうすれば良いですか?
A2、「個人事業の開廃業届出書」の提出にはペナルティはありませんが、事務処理で必要とされていますので期限後でも提出してください。
Q3、青色申告の届出書などの期限は事業開始から2ヶ月以内とあり、既に期限は越えていますがどうすれば良いですか?
A3、届出の期限を過ぎていますので、平成19年の所得税申告には適用できませんが、今年の3月17日(今年は土曜、日曜の休日の関係で3月15日ではなく、3月17日が期限となります。)までに提出すれば、平成20年の所得税申告分から青色申告などの特例が受けられます。
Q4、青色申告にすると帳簿の記帳義務があるなど面倒のようですが。
A4、確かに、青色申告には記帳義務がありますので白色申告に比べて大変だと言われています。しかし、白色申告でも記録は必要です。不動産所得の場合は他の事業のように毎日記帳するわけではないので、記帳は他の事業に比べれば簡単です。また、青色申告特別控除の10万円を受けるだけであれば簡易な帳簿でもOKです。
Q5、青色申告にはどのような特典がありますか?
A5、A5、次の特典があります。
①青色申告特別控除が受けられます。
②青色専従者給与を必要経費に算入できます。
③小規模事業者の収入及び費用の帰属時期の特例(現金主義)の選択ができます。
ただし、所得金額(専従者給与控除前)が300万円以下であることが条件です。
④純損失の繰越控除が3年間できます。
⑤純損失の繰戻しによる還付が前年1年間できます。
Q6、青色申告特別控除の金額はいくらですか?
A6、青色申告特別控除は、帳簿記帳のレベルとアパートの規模に応じて、次のように決められています。
①65万円控除の適用が受けられる場合
10世帯以上のアパート経営を行っていてかつ、正規の簿記(複式簿記)の原則に従って記帳し、その記録に基づいてその年の12月31日現在の貸借対照表を作成していること。
②10万円控除の適用が受けられる場合
上記以外の人(10世帯未満のアパート経営、又は簡易帳簿で記帳している人など)
Q7、確認ですが、私のアパートは8世帯で10世帯未満ですが、青色申告特別控除は受けられますか?
A7、青色申告は、簡易帳簿などの記帳し、領収書などの証拠を保管することを条件に、特典を与える制度ですから、65万の控除は受けられません。青色申告特別控除の10万円は受けられます。

平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産の償却の新たな定率法いついて、具体的に教えてください。
新たな定率法による減価償却費は、従来の定率法に比べ計算方法が複雑です。調整前償却額、保証率、償却保証額、改定取得価額、改定償却率という新たな言葉を理解することが必要です。
以下Q1~Q2で詳しく説明していきます。
Q1、新たな定率法の計算方法を教えてください。
A1、初年度:取得価額×定率法の償却率×賃貸期間/12=償却費…この金額を「調整前償却額」といいます。
2年目以降:未償却残高※×定率法の償却率×賃貸期間/12=償却費(調整前償却額)
※未償却残高=取得価額-減価償却累計額
この計算方法は償却率が変わった事を除けば、従来の定率法の計算方法と同じです。しかし、この計算方法が出来るのは、調整前償却額≧償却保証額」の場合です。
償却保証額とは、当該減価償却資産の取得価額に「保証率」を乗じて計算した金額です。調整前償却額が償却保証額に満たない場合には、最初に満たないこととなる年の期首未償却残高を「改定取得価額」として、その改定取得価額に、当該資産の耐用年数に応じた「改定償却率」を乗じて計算した金額を、その後の各年分の償却費の額として償却し、不動産所得等の金額の計算上必要経費に算入することになります。
改定取得価額×改定償却率×賃貸月数/12ヵ月=償却費
Q2、具体的な設例で説明してください。
A2、【設例】取得価額1,000,000円、耐用年数10年の減価償却資産の各年の償却に係る計算は、次のとおりとなります。
定率法の償却率 0.250
保証率 0.04448
改定償却率 0.334
<1年目>1,000,000円×0.250×12/12=250,000円
<2年目>(1,000,000円-250,000円)×0.250×12/12=187,500円
<3年目>(1,000,000円-250,000円-187,500円)×0.250×12/12=140,625円
↓
<7年目>(1,000,000円-250,000円-187,500円-140,625円-105,469円-79,102円-59,326円)×12/12×0.250=44,495円
この時の、期末未償却残高は133,483円です。
<8年目>133,483円(期首未償却残高)×0.250×12/12=33,371円<1,000,000円×00.04448(保証率)=44,480円
8年目には、新定率法の償却費(調整前償却額)33,371円が取得価額に保証率を乗じた金額(償却保証額)44,480円に満たなくなるため、期首償却残高に改定償却率を乗じた金額を償却費とします。
133,483円(期首未償却残高=改定取得価額)×0.334(改定償却率)×12/12=44,584円
<9年目>9年目以降は8年目同様44,584円を毎年の償却費とします。
<10年目>10年目においては残存簿価1円とするために、44,584円ではなく、44,314円が償却限度となります。
以上の関係を一覧で表すと以下のとおりです。

親の土地に子供が家を建てた場合の税務上の取り扱いはどうなりますか。また、借地の場合はどうなりますか?
土地を無償(ただ)で利用しても問題ありませんが、地代を支払う場合は注意が必要です。借地については、税務署への届出が必要な場合があります。
以下Q1~Q6で詳しく説明します。
Q1、親に地代を払わないで、無償で土地を借りて家を建てたいのですが。
A1、親子とか夫婦などの親族間では、土地を無償(固定資産税などの実費は借主が負担しても良い)で賃借して、家を建築するのが一般的です。(下記図1参照)これを民法上は「使用賃借」といいます。例えば、友人から車を借りて、ドライブして車のガソリン代は支払ったが、レンタル料は支払わず返還するのも使用貸借です。
Q2、無償の賃貸である「使用賃借」の場合、税務上贈与税などの問題は発生しないのですか?
A2、土地の無償使用である「使用賃借」については、むかしは、借地権の贈与が親から子にあったとして、贈与税を課税していました。しかし、現在は社会の実情にそぐわないということで取り扱いが変更され、権利金や地代の授受がない無償使用については贈与税などの税金は一切課税しないことになっています。
Q3、子供が使用賃借ではなく、賃貸借として地代を支払った場合、子供に借地権は認められますか?
A3、他人の土地を賃借して建築するときは、更地価格の60%~80%の権利金を支払い、かつ地代を毎月払うのが普通です。
したがって、子供が地代を支払っても子供に借地権が認められるのは、①子供が借地権の対価である権利金を親に支払う(この場合には、親が受け取った権利金に譲渡所得の税金がかかります)か、②子供が借地権相当の利益を受けたとして贈与税を支払った場合だけです。親に地代を支払っただけで、子供に借地権を認めることはありません。
Q4、建物が貸家であった場合には土地の評価はどうなりますか?
A4、建物の名義が子供で、土地の名義が親である場合は、それが貸家であっても、貸家建付地評価(1-借地権割合×借地権割合)として18%~24%程評価が下がる軽減は認められず、建物などがない更地として評価されます。相続税対策としては不利になります。
Q5、次に、親が借地している土地に子供が家を建てた場合はどなりますか。具体的的には下記図2、イのように、親が地主の土地を借地して、そこに家を建てていましたが、子供の名義で建替えることにしました。税務上の取り扱いはどうなりますか?
A5、図2、ロのように、子供は、親から借地権の転貸しを受け、親の借地権を無償で利用して家を建てる場合は、使用貸借で税金の問題は発生しません。しかし、図3のように、親の借地権を子供に変更した場合には、親から息子へ借地権を贈与したことになり、息子に贈与税が課税されます。
Q6、図2、ロのように親の借地権はそのままで、親から借地権は無償で借りたいのですが、どうすれば良いですか?
A6、借地権については従前通り親であり、借地権者の変更がない場合には、このことを地主に確認してもらった「借地権の使用貸借に関する契約書」を税務署に提出することになっています。届出の用紙は税務署にあります。

アパート・マンション等の賃貸事業をしている人は、小規模企業共済に加入すると所得税で有利と効きましたが。
小規模企業共済は、支払った掛金の全額が所得から控除になるので、所得税が節税でき有利です。また、利回りも、長く預けると期待できますので、一度検討してはいかがでしょうか。
以下Q1~7で詳しく説明します。
Q1、「小規模企業共済」とは、どのような制度ですか。
A1、小規模企業の個人事業主、または、会社の役員などが、廃業、退職された場合の一時金として利用できる共済制度で「事業主の退職金制度」といえるものです。また、政府が全額出資している中小企業基盤整備機構が取り扱っていますので、安全性も高い制度です。
Q2、小規模企業共済の掛金は、支払った掛金の全額が所得控除となるのですか。
A2、はい。掛金は、その全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得から控除されます。毎月の掛金は、最低金額1,000円で、500円単位で変更でき、上限は7万円です。
Q3、毎月、上限金額の7万円で年間84万円支払った場合の節税金額はいくらですか。
A3、課税所得が200万円の場合は845万円×15%=126,000円になります。1,000万円の場合は361,200円(43%)の節税となります。
Q4、加入できる人はどういう人ですか。
A4、常時使用する従業員の数が20人以下(商業・サービス業は5人以下)の個人事業主、および会社の役員などです。アパート・マンションの賃貸住宅を経営している人も加入できます。
Q5、加入の申し込みはどこでできますか。
A5、商工会議所・商工連合会および市町村の商工会・青色申告会・銀行・信託銀行・信用金庫など、
となっています。
Q6、解約時の返戻金(退職金)はいくらになりますか。
A6、返戻金(退職金)は受領するときの事由(理由)によって、受取り金額が違います。(下記図参照)
Q7、退職や死亡などで受領した共済金の課税はどうなりますか。
A7、退職の場合、一時払い(一回で全額を受け取る場合)の共済金は退職所得となり、分割で受け取る場合は、公的年金と同じ取り扱いの雑所得となります。また、死亡時に一時払いとして受け取る共済金の所得税は非課税です。さらに、この共済金は死亡退職として取り扱われ、500万円×法定相続人の金額まで相続税も非課税となります。

アパート経営をしています。クーラーや風呂釜などを買い替えた場合の取り扱いについて教えてください。
少額な減価償却資産の取り扱いについては、白色申告の場合と青色申告の場合で違います。
以下Q1~Q6で詳しく説明します。
Q1、白色申告の場合にはどうなりますか。
A1、①取得価額が10万円未満の減価償却資産について。
減価償却資産は、耐用年数の期間にわたって、費用化されますが、使用期間が1年未満か取得価額が10万円未満の減価償却資産については、支出時の経費となり資産としては計上しません。
②取得価額20万円未満の減価償却資産について。
20万円未満の減価償却資産については、3年間に渡って均等に償却します。
例えば、18万円のクーラーを101号室に取り付けた場合には、18万円÷3年=6万円を3年間経費で処理します。この処理方法を採用した場合には、途中でクーラーを除却などしても、除却損を計上できず、当初の3年間で6万円を均等償却することが義務づけられています。
Q2、青色申告の場合にはどうなりますか。
A2、取得価額30万円未満の償却資産について。
青色申告者は、上記の処理方法も採用できますが、さらに30万円未満の減価償却資産について、経費で処理できます。
ただし、年間の少額減価償却資産の合計額が300万円までという制限があります。
Q3、支払が30万円未満であるか否かはどのような単位で判断するのですか。
A3、利用状況ごとで判断します。
Q4、具体的にはどうなりますか。
A4、例えば、101号室でクーラー16万円、風呂釜の交換20万円を支出して、201号室で洗濯機18万円とクーラー15万円を支出した場合には、利用状況ごとで判断しますから、クーラー1台でいくら支出したか、風呂釜でいくら支出したかです。室ごとの合計(101号室、クーラー16万円+風呂釜20万円=36万円)やクーラーなどの物ごとの合計(クーラー16万円+15万円=31万円)ではありません。それぞれの個々の支出が30万円未満であったか否かです。個々で、判断すると全て30万円未満ですから、経費として処理できます。
また、年間の合計額も69万円で300万円未満ですから、全額経費になります。
Q5、この特例を受けるためにはどうすればよいですか。
A5、青色申告決算書の「減価償却費の計算」の欄に、(1)適用した減価償却資産の取得価額の合計額、Q4の場合では、69万円と掲載します。(2)「措置法28条の2第1項を適用した」と適用欄に掲載する。
Q6、青色申告の場合には、修繕費か資本的支出か不明な場合にも、30万円未満を基準として判断して良いですか。
A6、アパート、マンションの修繕が無条件で必要経費として処理できるのは、修理改良などのために要した金額が20万円未満の場合です。この金額を超える修繕であっても、ペンキの塗り替えなどのように明らかな修繕であれば経費として処理できます。
しかし、実際の処理では、修繕などの支出が、資本的支出として減価償却資産となるか、修繕費として経費となるかの判断は難しいものです。
このように、修繕費か資本的支出か不明な場合には、その支出が30万円未満であるか否かで判断することができます。
この先、金利が上昇するのではないかと心配です。
アパートを建築するにあたっての注意点を教えてください。
アパートを建築するのであれば、金利の動向は気になります。まずはアパートの利回りの確認と金利の動向に注意が必要です。
以下Q1~5で詳しく説明します。
Q1、アパートの利回りには、表面利回りと実質利回りがあるようですが、表面利回りから説明してください。
A1、表面利回りは、家賃などの収入を建物の建築費で割ったもの、算式では、「表面利回り=1年間の収入÷建築費」となります。
○表面利回り
月額家賃×寝室料×12ヶ月÷建築費=
7.1万円×10室×12ヶ月=852万円÷8,000万=10.7%
Q2、実質利回りはどう計算しますか?
A2、実質利回りは、収入から空室想定分(この場合空室率5%で考えています)、固定資産税、管理費、修繕費、火災保険料など毎年掛かる経費を差し引いた手取収入を建築費で割ったもの、算式は、「実質利回り=1年間の手取り収入÷建築費」で計算します。借入の返済を差し引く前の金額です。
○実質利回り
(収入-空室想定分-経費)÷物件価格
◆空室想定分…43万円
◆年間経費の内訳◆
固定資産税・都市計画税…75万円
管理委託料 …42万円
修繕費 …50万円
火災保険 …7万円
合計 …174万円
(852-43-174)=635÷8000=7.9%
Q3、このことから何がわかりますか?
A3、表面の利回りではなく、実質利回りが借入金の返済より上回っていれば、手取り収入はプラスで儲かっていることがわかります。金利が上昇する場合には将来の金利が実質利回りを上回って持ち出しなどにならないよう注意をすることです。
Q4、しかし将来のことを正確に予測するのは困難です。とはいえ過去の建築時における建築費と金利の状況はわかるので、これを把握しておくと、将来の予測に役立つと思いますので教えてください。
A4、①もしも今アパートを建てるとしたら
1億円のアパートを全額借入で建てたと想定してください。
現在の住宅金融公庫の金利…約3.2%
借入期間を30年とすると月々の返済額…約43万3000円
返済総額…約1億5570万円
②もしも同じ建物をバブル期(1991年)に建てたとしたら
建築コストが現在と比べて1.34倍なので、建築費は1億3400万円です。
バブル期住宅金融公庫の金利…約5.5%
借入期間を30年とすると
月々の返済額…約76万1000円
返済総額…約2億7400万円
Q5、バブルがはじけてから景気が悪化し、金利も建築費も低下したのは分かりますが、景気が回復すると金利と建築費はどうなりますか?
A5、景気が回復すると金利が高くなるだけでなく、建築費も高くなることが考えられます。最近は金利も建築用資材も上昇傾向にありますから、景気も今後とも回復傾向が続くと考えると、建築費も金利も今が底値で、アパートを建築するのには今がチャンスと言えるかもしれません。
最近「家賃」が減っているのに「所得」が増加しているのはなぜでしょうか?
家賃が下がって手取り収入が減少しているのに、所得が増えるなどということは、ちょっと考えられないことですが、現実によく起こることなのです。所得が増えるわけですから、税金も高くなります。原因などについて考えてみましょう。
以下Q1~Q5で詳しく説明します。
Q1、原因はあるのですか?
A1、原因のひとつは、借入金の返済額は同じでも経費になる利息が減少しているからです。借入金の返済方法には、元利均等返済方式と元金均等返済方式とがありますが、多くの人が選択している、元利均等返済方式は元金と利息の合計額が毎年同じ金額を返済する方式です。
図1を見るとわかりますように、毎年の返済額は変化しませんから家賃が減少すると、資金繰りは悪化します。しかし、利息は毎年減少していますから、経費が減少して、所得が増えるから納得できないのです。
Q2、元金均等返済方式の場合はどうなりますか?
A2、図2のように、毎年の元金返済額は同額ですが、元金の返済によって借入金の残高が減少しますので、それに伴って利息も減少して、返済額も減少します。元金均等返済方式では、家賃がさがっても返済額が減少しますから、資金繰りは悪化しないで、むしろ、手取り収入が増加することがありますので、税金が高くなっても資金繰りに余裕があります。(図は900万円を30年間の固定金利で借りた場合)
Q3、ほかにも原因はありますか?
A3、減価償却費の計算にあります。定率法を採用していると減価償却費が毎年減少しますから、所得が増加します。定額法は毎年同額の減価償却費が計上されますが、表1のように定率法は最初のうちはたくさんの減価償却費が計上できますが、時が経過するにしたがい減価償却費が急に減少しますから税額の増加がきつく感じられます。
Q4、建物の減価償却は平成10年4月1日からの新築や取得は定額法だけになりましたから定率法の問題はないと思いますが?
A4、それ以前に建築した建物は定率法が採用できました。定率法を採用する人がたくさんいましたから、その人たちが減価償却費の減少に悩んでいます。また、建物付属設備は現在でも定率法が採用できますから、注意が必要です。
Q5、どのような対策が必要ですか?
A5、アパート、マンション経営は、建物が新しいうちは、入居も安定し家賃も安定しますが、古くなるとそうは行きません。元利均等返済方式を採用した場合には、15年目頃に資金繰りが大変になりますから、借入金の元金を繰り上げ返済などの検討することが大切です。

税金には、いろいろな軽減措置があると聞きますが、固定資産税にも特例はありますか?
固定資産税についての税負担を軽減する特例措置
①建物があれば固定資産税は6分の1になる
アパート・マンションや戸建住宅などの住宅用地については、固定資産税についても税負担を軽減するための特例措置があります。これには「小規模住宅用地」と「一般住宅用地」の二種類があります。
小規模住宅用地は、住宅一戸について200㎡以下の住宅用地で、課税標準額が固定資産税評価額の6分の1になります。
一般住宅用地とは200㎡を超える部分で、固定資産税評価額の3分の1となります。300㎡の住宅用地なら、200㎡については6分の1、残りの100㎡は3分の1の評価になるわけです。
都市計画税については、小規模住宅用地が3分の1、一般住宅用地は3分の2の評価になります。
更に、小規模住宅用地(住宅用地のうち1戸の住宅について200㎡までの部分)に対して課する都市計画税(23区内)については、税額の2分の1が平成19
年度も引続き軽減されます。
アパート・マンションの敷地は、ほとんど固定資産税は6分の1、都市計画税は6分の1になります。このように、駐車場にしておくより、賃貸住宅を建てるほうが有利です。
②隣の駐車場も建物との一体利用で軽減が受けられる
よくある例が、アパートやマンションの横に専用駐車場があって、建物の敷地と駐車場が分筆されているようなケースです。固定資産税は基本的に一筆ごとに評価するので、建物があるほうの土地は住宅用地で6分の1の評価減を受けますが、駐車場のほうはそのまま更地としての評価をされます。
建物と一体として使っている土地、つまり専用駐車場のような場合は、一体利用しているものとして評価するこができるようになっています。
それには、まず分筆されている土地を合筆する方法があります。こうすれば問題なく一体利用の評価を受けます。
ところが賃貸物件が建っている土地に抵当権が設定されていて、合筆した時にその抵当権が土地全体に及ぶのを避けたいという時もあります。こういう時はどうしたらいいでしょうか。
③こんなケースで固定資産税を軽減できる
固定資産税の評価は、利用状況を優先して行うこともできます。実際に賃貸物件の駐車場であることが明瞭であれば、分筆してあっても一体利用の評価が受けられるのです。そのためには「○○マンション専用駐車場」などの看板を出しておきます。また、賃貸物件の契約に駐車場の分も含まれる形をとってもいいでしょう。
逆に分筆していなくても、建物の敷地と駐車場の間にフェンスがあると別々に評価されてしまうので、取り外しておく必要があります。ただ専用駐車場でも、道路を隔てたところにある場合は一体利用の評価は受けられません。
また前と後ろが二つの道路に面している土地に店舗とアパートが建っているような場合は、今度は土地をそれぞれの敷地ごとに分筆したほうが有利です。アパートのほうの土地は、分筆することで6分の1の評価減が受けられるからです。(図参照)
実際に現状を調査に来た時に、利用状況がわからないと、このような評価と現状のミスマッチが起きます。現状に合わせた評価がされていなければ、東京二十三区内であれば、都税事務所に固定資産税軽減の届出をします。いずれにしても納付書が届いたら税理士や専門家に見せて、減額されるべきものがないかどうかを確認してもらうようにしましょう。

住宅を新築したら「お尋(たず)ねの回答書」を税務署に提出するよう書類が送られてきましたが…?
「住宅を新築する」ということは、かなりの資金が必要だということになります。建主自身が働いて得た資金ばかりでなく、親から出してもらうなどということもあるかもしれません。その、建築資金の出所を調べて、贈与などの課税を行うのがねらいです。建物の建築費と、資金の調達方法がポイントになってくるはずです。そのへんの説明をします。
以下Q1~Q9で詳しく説明します。
Q1、「お尋ね…」を送付してきた、税務署の目的はなんでしょうか?
A1、これは、主として建築資金の調達方法を調査しようというもので、建築代金と自己資金、借入金、所得などを比較して資金の贈与を受けていないかどうかを質問してくるわけです。
Q2、回答書には、建物の構造、前年所得、建築工事費、建築付随費用(登記料、仲介料など)がありますが、そのまま書けばよいわけですね?
A2、そうです。
Q3、記入の際、何を参考にしたらよいでしょう?
A3、まず、登記簿謄本を参考に、建物の構造、用途、家屋の所有者が共有の場合は、共有者の持ち分も記入します。敷地については、売買や相続による取得方法、敷地面積、取得金額など売買契約書を参考に記入します。
Q4、家屋の建築工事費、関連費用については…?
A4、建築請負契約書や支払代金の領収書などをもとに支払日、支払金額、支払先名、支払先の住所を記入します。
Q5、支払代金の調達方法は…?
A5、この点は、税務署の調査の目的ですから注意して記入すべきでしょう。つまり、現金、預金などの資金の出所を記入する場合には、所得に比べて自己資金が多額だと不自然ですから、贈与を受けている場合は、贈与の申告をした方が良い場合があります。
Q6、贈与を受けたときはどうしますか?
A6、税務署は贈与の欄に記入された金額で、翌年、贈与税の申告がされているかどうかをチェックします。特に、今年から通常の住宅取得資金の贈与の特例が廃止され、相続時精算課税の場合の住宅取得資金の贈与だけになりましたから、記入にミスがあると後で面倒なことになりかねません。
Q7、借入金をした場合は…?
A7、銀行からの借入であれば問題はありませんが、親からの借入金については、父子間で契約書を作り、返済方法や、返済期間、金利等を取り決めます。大事なことは、契約書に書いてある通りに実行することです。これがあいまいになっていると、税務署より贈与だと指摘を受ける危険があります。契約書を作っただけでは安心はできません。
Q8、結果的に贈与税を課税されてしまった方の例はありますか?
A8、3000万円で新築した自宅の登記を、夫2分の1、妻2分の1としました。しかし、税務署からのお尋ね書に、夫は借入金と預金で2950万円、妻は預金で50万円と記載して提出しました。後日税務署から呼出しが来て、最終的に、夫から妻に贈与があったということで、贈与税を納付することになってしまいました。
Q9、回答が遅れたり、うっかり忘れたような場合は…?
A9、このお尋ね書の提出は任意ですから、特に罰則はありません。しかし、後日、税務署に書類を持参して説明を求められるようなことになりますので、指定の日より遅れても提出するほうがよいでしょう。
不動産管理会社の活用法
【不動産管理会社の3つのメリット】
所得税対策として実際によく行われているのは、妻や子供を役員や従業員として管理会社を設立。その会社に地主さん(Aさん)が家賃の一定割合を管理料として支払うことにより、Aさんひとりに集中している所得を、給料として家族に分散させるというものです。
所得税は累進課税ですから、所得を分散させれば税率を引き下げることができます。さらに、給料をもらった家族はそれぞれ給与所得控除を受けられますから、全体で見るとダブルの節税効果があるわけです。
ここまでは一般の本などでもよく紹介されています。しかし、会社を設立することによる大きなメリットは、むしろ相続対策にあると考えられます。例えば管理会社から子供が受け取る年間給与が300万円とすると、Aさんは自分の所得税を節税しながら、なおかつ相続人である子供に毎年300万円を生前贈与するのと同じ効果を得ることができます。子供が2人いれば、年間600万円、10年で6,000万円です。仮にAさんの相続税の税率が50%とすると、単純に考えれば3,000万円の節税効果があることになります。
また、不動産管理会社を設立して子供にも責任を持たせることによって、親子が共同で相続対策を考える土台ができます。財産について親と子が冷静に話し合うというのはなかなか難しいものですが、会社を通すことによってスムーズに事業や資産を承継ができるというのも、大きなメリットといえるでしょう。
【所得税対策に活用する不動産管理会社の運営方式】
前述したように、不動産管理会社を利用した所得税対策では、土地を所有する個人が自分の名義で賃貸物件を建築し、不動産管理会社を「経由」することによって、オーナーに偏りがちな収入を家族に分散し、節税をはかります。この場合の不動産管理会社の運営形態としては、管理委託方式と転貸方式次の2つが考えられます。
■管理委託方式(図表1)
オーナーが不動産管理会社へ管理料を支払う方式です。具体的には、オーナーが所有する賃貸物件を賃借人(テナント)に賃貸するときに、管理会社が仲介などを行い、管理を代行することによって管理料を受領します。
支払った管理料は、オーナーの不動産所得の計算上は、経費となります。一方、管理会社が受け取った管理料は管理収入となります。この方式では、管理会社の業務は賃貸料の集金、清掃、借家人などのトラブルの調整等、比較的簡単な仕事であり、管理料としては家賃収入の5~7%程度が妥当と考えられています。
この方式の欠点は管理会社の収入が少なくなること、また管理料を受け取るために管理会社がどれだけの仕事をしたかが常に問題となることです。
■転貸方式(図表2)
オーナーがマンションを不動産管理会社に一括して賃貸し、これを管理会社がさらに賃借人(テナント)に転貸する方式で、一般的には「一括借上システム」と呼ばれています。賃借人から受け取る家賃と、オーナーへ支払う賃料との差額が、管理社会の収入となるわけです。この方式は、オーナーに家賃を保証することから、オーナーは安定した賃料収入があります。
一方、不動産管理会社は、空室保証のリスクを負うことになります。一般にこの方式は、大手不動産管理会社が賃貸料の保証をする方法として利用されています。保証料は地域差や保証内容にもよりますが、家賃収入の10%~20%ぐらいが多いようです。
■注意点
いずれの方式も適正な“管理料”“転貸料”をいくらにするかです。管理会社に残る金額が大きいほどオーナーさんにとっては節税にはなりますが、その金額が経済的に合理性を持っていなければ認められません。
過去の税務調査でも、30%~50%の管理料と設定した場合には、否認されています。
したがって、いずれの方式においても、一般の不動産管理会社が採用している基準を超えないようにすることがポイントになります。