2014年の税制改正で、相続税が大幅に増税の方向に改正されましたが、贈与税はむしろ減税の方向に改正されました。それに伴い、相続税対策のために、贈与、特に毎年現金贈与をされている方が、増えてきているかと思います。しかしながら、下記のような贈与は、相続税の調査の時に問題となりやすいです。
「贈与税は毎年110万円まで非課税なので、子供や孫名義の預金通帳を作って、その口座に毎年110万円ずつ預金しています。そして、通帳は親が保管して、贈与税の申告義務がないので、申告はしていません」。

1.現金贈与のポイント

そこで、今回は相続税の調査の時に、後から贈与を認めないと言われないための現金贈与のポイントを紹介します。

2.贈与契約書

  1. 受贈者に贈与を受けたという認識があることが必要です。贈与はもらった側とあげた側の両方の認識があって初めて成立します。あげた側(祖父、祖母、父、母など)だけがわかっていても、贈与は成立しません。
  2. 預金の管理、処分は受贈者(子や孫など)が行うことが必要です。 そのため、銀行印も贈与者の印鑑ではなく、受贈者の印鑑であることなども要求されます。
  3. 贈与を受けた証拠があることが必要です。具体的には、贈与契約書を作成し、通帳に振込をして記帳しておくのが必要です。 贈与契約書には、贈与者、受贈者、がそれぞれ署名し、押印しておくのが望ましいです。
  4. 110万円を超えて、贈与税を納付したという記録を残し、申告書も控えを残しておくのが良いでしょう。また、受贈者が未成年の場合には、受贈者の親権者が、サイン押印することが必要です。

下記贈与契約書のひな型を添付いたします。


2.贈与の相続税対策


贈与する金額について、贈与額はいくらくらいが相続税対策として効果的かも考える必要があります。
110万円を超えて贈与すると述べましたが、例えば、111万円の贈与であれば、贈与税は1,000円と少額で済みますが、それが必ずしも相続税対策として効果的とは限りません。贈与はそもそも相続税の節税のために行っていますので、先ず、相続財産を評価して相続税を計算して相続税の実効税率を把握します。それと贈与税の実効税率を比べてみて贈与金額を判断することが必要です。
したがって、200万円、300万円など、110万円を大きく超える贈与をし、贈与税を支払ったとしても、それ以上に相続税の節税効果が大きければ先に贈与税として支払った方が有効です。

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