譲渡所得の金額は、土地や建物を売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。 取得費は、土地の場合購入金額、建物であれば購入代金から減価償却相当額を差し引いた金額などの合計額になります。 しかし、売却した土地建物が、買入時期が古いなどのため取得費が判らないこともあります。 そのように取得費が判らない場合には、措置法31条の4で、譲渡対価の5%相当額を取得費とすることができるとされていますが、平成12年11月16日の裁決で、5%以外の算定方法が明示されました。

1. 裁決内容

土地と建物を一括して譲渡し、そのいずれの取得価額も不明である場合の土地・建物の取得費の算定方法

3. 前記算定方法による比較

<④に基づく土地付建物を売却した場合の考え方>

  • 1.建物は統計による建築単価を用いて未償却残高Aを求め、これを譲渡価額とし、結果、建物の譲渡損益は生じないとする。
  • 2.土地は譲渡価額総額からAを差し引いて、これを土地の今般の譲渡価額Bと置く。
  • 3.Bに市街地価格指数割合を乗じて取得費Cを求める。
  • 4.譲渡所得の金額は(B-C)=Dとする。
  • 単純で明快で割り切りのある手法を用いた、譲渡所得に云うところの値上がり益の計算である。

2. 具体的な事例

(1)取得費が不明である場合の措置法による譲渡所得の計算

土地建物の譲渡に係る所得の計算上、その譲渡に係る土地又は建物の取得費が不明であるときは、その譲渡に係る譲渡対価の5 %相当額をその計算上取得費とすることができる。(措法31-4-1)

土地及び建物の取得費 262,352,050円×5%=13,117,602円

(2)裁決による計算

(3)取引事例に基づく取得費の算出について

当該取得時期の路線価を入手し、これを糸口に、不動産鑑定士に依頼して、これに近い時期の取引事例等の比較及び当時の周辺の土地の取引価額の推移を検討し、客観的な当時の該当区域の土地の取引金額の算定を行う方法。 これに基づき今回の土地に係る取得費を計算すると、事例の場合以下の金額が算出されることとなる。 当時の取引価額を反映していると判断された路線価を基礎として計算した取得費

290,000円×129.68㎡(地積)= 37,607,200円 契約書・領収書等を紛失してしまい実際の取得価額が判らない場合でも、概算取得費で計算すると明らかに実際よりは安価になってしまう場合には、登記簿謄本に記載されている情報等を基に、取得費を算定することを検討してください。

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