1.家族名義預金でも課税の対象になる

相続税の税務調査では、被相続人だけではなく配偶者や子ども名義の預金まで調査されます。例えば、配偶者の名義で多額の預金があり、その配偶者に収入がなかった場合には、その預金は被相続人から移転された財産ではないかと税務署が考えるためです。正式な贈与の手続きなどをせずに配偶者や子どもの名義にした財産は、税務署は名義人の財産とは認めず、被相続人の財産となります。このような預金を「名義預金」といいます。

名義預金の問題は、相続人名義による預金の帰属者が、その名義の通り相続人に帰属するか、名義人である相続人には帰属せずに名義預金として被相続人に帰属するかが争点です。
「妻のへそくりなのだから、原資が夫だからといって夫の財産とされるのはおかしい」
「生活費として使われなかったお金があれば、それは夫から妻への贈与であって、その後の預金の管理を妻がしていれば、毎年110万円の非課税の範囲内であれば妻の財産だ」
このような主張だけで妻の預金とすることは、難しいことが多いようです。

もし本当は、妻は贈与された認識がなく、「内助の功で築き上げた預金なのだから、配偶者にも財産をもらう権利がある」というように考えているのなら、相続財産の1/2までは配偶者に非課税の規定があると税理士は説明したほうがよいでしょう。

相続人に贈与された預金であるため、名義預金ではないと主張する場合は、贈与の証拠が必要です。毎年110万円までは贈与税の非課税の枠内であると主張しても、税務署は簡単に認めないでしょう。例えば税務調査において、午前中に雑談風に調査官から、「生前に贈与を受けたことありますか」、「現金以外の贈与はありますか」などの質問を受けて本人がありませんと答えていたため、午後の調査で名義預金が論点になった際に筋が通らなくなったということはよくある話しです。

2.家族名義の預金が家族の固有財産として認められるには

名義人である配偶者や子どもに相当の所得があり、名義人にその預金の預け入れを行うための資金力があると認められるときは、配偶者や子どもの固有財産であると認定されることでしょう。

また、名義人が預金を被相続人から生前に贈与されている場合については、贈与を受けた年分の贈与税の申告書控えか贈与税の納付に係る領収書、被相続人・相続人の通帳などを提出し、名義人の預金であると認定してもらいましょう。ただし、相続開始前3年以内の贈与財産は相続税の課税対象となりますから注意してください。

3.預金以外にも調査される財産は

預金以外の財産も確認されます。預金同様に名義を移しやすい有価証券やゴルフ会員権もよく確認されますが、特に注意したいのが生命保険契約です。 被相続人が保険料を支払っていた生命保険契約は、死亡保険金や解約返戻金が相続財産になります。被相続人が保険料を支払っていたにもかかわらず、書類上の契約者が配偶者や子どもになっているものは「名義保険」として名義預金と同様に被相続人の財産としての扱いを受けます。

もし被相続人から保険料相当額の預金の贈与を受け、相続人自身が契約者として保険料を支払うというのであれば、預金の贈与を受けた旨の贈与税を忘れずに申告しておきましょう。この場合、被相続人の死亡により受け取った保険金は、保険料負担者が相続人ではありませんので、相続税の課税対象にはなりません。相続人が一時所得として確定申告することになることも忘れないでください。



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