親が子どもの後押しをするために、借金の保証人になることはよくあることです。
子どもが順調に借金を返せれば問題はありませんが、そうでないときは実際に親が肩代わりすることになります。

1.保証債務を履行する際には特例がある


借金の保証人ともなれば、いつでも借金を肩代わりする準備が必要ですが、常に現金を用意しておけるとは限りません。子どもが借入金を払えなくなった際の保証債務について土地を売却した場合は、子どもに弁済する経済力がないなどの条件を満たす場合に限り税金は課されずにすむ方法があります。

①債務を保証して、
②その債務を履行するために資産を譲渡し
③その代金をもって主たる債務者の債務を履行した場合において、
④その履行に伴う求償権が行使できないことになったときは、
⑤その行使ができないことになった金額に限る、という条件があります。

親が子どもの保証人になった場合(民法446条)や連帯保証人(民法454条)だけでなく、連帯債務者や身元保証人、合名会社などの無限責任社員などでも制度利用が可能です。

この制度を利用するにあたっては、金銭消費貸借契約書、保証契約書、担保に提供した物件の登記簿謄本、抵当権設定契約書などで事実の確認を行う必要があります。
子どもが借入金をした時は、借入金を弁済できる経済力があったにもかかわらず、事業の業績が悪化したため借入金が弁済できなかった場合でなければいけないので、そのためには会社の決算書や所得証明書などで弁済能力を証明できないといけません。
また保証債務の履行であることを明確にするため、保証人への「支払い催促状など」を銀行から受領しておいたほうがよいとされています。

2.求償権が行使不能であることを証明しよう


保証人の親は、自分の借入金でないものを子どもの代わりに銀行へ弁済したのですから、親は、主たる債務者である子どもに、肩代わりした銀行借入金について、弁済を請求できる権利を持ちます。これを「求償権」といいます。 この求償権を行使できない金額とは、一般に

①自己破産または自己破産状態のときの弁済不能額や、
②会社更生法、会社再生法、債権者集会などで明らかになった回収不能額などです。

反対に、子どもに借入金を弁済できる能力があるのに、親が子どものためだからといって、借入金の肩代わりを安易にする場合が考えられます。この場合には特例は使えませんので課税されます。

また、会社であれば、会社の財産状況が債務超過であり、経営不振による事業停止、倒産による事業休止、倒産による事業閉鎖など明確な状態であることが必要です。
会社が事業を続けていると、求償権の行使ができるとして弁済可能額となり、結果としてこの制度の利用ができないこととなり、税金を課されることになるので注意が必要です。

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